HOME特集:もっと詳しい吸着原理
静電チャックの吸着には、いくつかの電気的な特性が関わっています。以下では3種類の吸着原理を紹介していますが、必ずしも一つの力のみがはたらいているわけではなく、いくつかの力が複合的に合わさって、対象物を吸着させる力となっています。 クリエイティブテクノロジーでは、「どの力が支配的か?」という観点から、静電チャックのタイプを区分けしていますが、材料や設計によって吸着原理が異なる静電チャックは、静電チャックを専門に研究する弊社にとっても、継続的な研究テーマの一つとなっています。
①クーロン力
クーロン力が支配的な静電チャックは、高い電圧をかけることによって確実な吸着が可能です。導電物の吸着に優れており、半導体製造装置等でも多く用いられているスタンダードな吸着原理ですが、分極が起こりにくい絶縁物に対しては適応しづらいタイプです。
【クーロン力のイメージ】
②ジョンソン・ラーベック力
ジョンソン・ラーベック力が支配的な静電チャックは、誘電層の絶縁性を調整することで、微量な電流が流れる状態をつくり、対象物を吸着させるタイプです。内部電極に電圧を印加すると、徐々に電荷が誘電層の最表面付近へ移動し、仮想電極が生まれます。発生した仮想電極は、対象物との距離が近いため、低電圧で高い吸着力を得ることができます。
【ジョンソン・ラーベック力のイメージ】
③グラディエント力
グラディエント力が支配的な静電チャックは、プラス極とマイナス極の電極を交互に細かく配置することにより、両極の間で生まれる「電界」を利用して吸着させるタイプで、おもに絶縁体の吸着に適しています。分極が起こりにくい絶縁体は、クーロン力やジョンソン・ラーベック力では吸着力が得られにくいため、電界を用いて強制的に対象物を引きつける力が必要です。電極間が狭いほど吸着力が高くなる傾向にありますが、一方で電極間の耐久性が低下するため、両者のバランスを考慮した設計が求められます。
【グラディエント力のイメージ】