HOME製品紹介:把持・滑り止めパッド(IonPad)
IonPadは特殊樹脂コーティングとベース基材からなり、IonPadと対象物の界面に、ファンデルワールス力(分子間力)を発現させるツールです。半導体業界において反りウェハー搬送の精度向上は一つの大きなテーマであり、弊社のIonPadは、滑り止めパッドとして搬送用ハンドへ実装することで、搬送精度を向上させる技術のひとつです。またウェハーの裏面を最小限の接触で把持することで、搬送用ハンドとの接触により異物が発生する問題も、同時にクリアできるパーティクル対策ツールでもあります。
分子間に働く三種類の引力(ファンデルワールス力、水素結合、極性引力)の総称のことを分子間力と言います。IonPadの支配的な吸着原理であるファンデルワールス力は、界面に発生する電気的な力(引力)であり、非常に微弱な結合力です。発現させるためには髪の毛の太さ10万分の1以下の距離(3~5オングストローム)まで物質間を近づける必要があります。※1オングストロームは1億分の1cm。
ヤモリの足裏には、非常に細い毛がびっしり生えています。鏡面のような材質でも、分子レベルで見ると凸凹があるため、ヤモリの細かい毛がこの凸凹に入り込み隙間を埋めることで、ファンデルワールス力が発現し、天井や壁を登ることが出来ます。
外部からのエネルギー供給や配線が不要なため、既存装置へ簡単に導入が可能です。また、他吸着ツール(真空バキュームなど)の弊害とならないため、既存の搬送手段と併用することで歩留まりの改善につながります。
粘着剤不使用なため繰り返し使用が可能です。IonPad表面へパーティクルが付着した場合は、純水または工業用アルコールで拭くことで何度でもご使用いただけます。
IonPadは大気・真空を問わず使用可能です。半導体や、FPD製造プロセス、真空貼合、ウェハーの搬送、クリーンルーム等、多くの採用実績があります。
フラットなウェハーはもちろん、反りの強いウェハーや大判ガラスにも、わずかな接触面積を確保することで高速・高精度搬送が実現できます。
ウェハー搬送時、裏面を最小限の接触で把持することで、ウェハーへの傷や汚染を防ぐことが可能です。また、エンドエフェクタ(落とし込みタイプ)にウェハーのエッジ部が接触しなくなることで、ウェハーの膜剥がれ、発塵を防ぎます。
IonPadには、粘着タイプと非粘着タイプの2種類があります。厚さ、形状もカスタム可能なため、対象物や用途、環境により最適なIonPadの設計をご提案いたします。
IonPadの表面が鏡面になっており、ワークとの接触面積を多く確保することで縦・横方向の吸着力が発生します。ガラスやFPDの貼り合わせなどにご利用いただけます。
IonPadの表面が梨地になっており、ワークとの接触面積が少なく、横方向にのみ吸着力が発生します。反りウェハーの高速搬送の精度向上に導入が進み、ズレ防止効果は回転動作のある受け渡しや、様々なステージ姿勢にも対応可能です。
種類 | 粘着タイプ | 非粘着(滑り止め)タイプ | ||
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把持面 | 材質 | 特殊樹脂コーティング | ||
厚み | 0.1mmまたは1.0mm ※バックアップフィルムや基材を含みません |
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硬度 | ゴム硬度55° | |||
使用条件 | 環境 | 大気、真空およびその他ガス雰囲気 | ||
温度 | 0℃~100℃ | 0℃~150℃ | ||
構造 |